第 1 回:はじめの一歩!Aura アカウント作成とインスタンス起動
実体験から学ぶ:なぜ Neo4j Aura を選んだのか
私が担当したある製造業クライアントのプロジェクトで、従来のリレーショナルデータベースでは表現しきれない複雑な部品間の依存関係を管理する必要がありました。そこで選択したのが Neo4j Aura でした。
Neo4j Aura とは何か
Neo4j Aura はフルマネージド型のクラウドグラフデータベースサービスです。「ゼロ・アドミニストレーション」をコンセプトに、データベースの運用保守作業から開発者を解放します。
サービス階層の理解
実際のプロジェクトでは、要件に応じて適切なティアを選択することが重要です:
AuraDB Free(無料ティア)
- 用途: 学習、プロトタイピング、概念実証
- 制限: 20 万ノード、40 万リレーションシップまで
- 私の活用法: 新規案件の可能性検証で必ず最初に使用
AuraDB Professional(商用ティア)
- 用途: 本番環境のアプリケーション
- 特徴: スケーラブルなインスタンスサイズ、日次バックアップ
- 実際の導入事例: 中規模企業の知識管理システム
AuraDB Business Critical(エンタープライズ)
- 用途: 大規模企業、ミッションクリティカルなシステム
- 特徴: 高可用性、VPC 分離、詳細なアクセス制御
ステップ 1:アカウント作成の実践
事前準備
実際のプロジェクトでアカウントを作成する際に必要な情報を整理しておきます:
- 企業メールアドレス(個人アドレスでも可能)
- プロジェクト名の方針(後から変更可能)
- 想定するデータ規模
アカウント作成手順
-
Neo4j Aura コンソールへアクセス
- URL:
console.neo4j.io
- 私の推奨:ブックマークに追加しておく
- URL:
-
サインアップ情報の入力
- 氏名(英語表記推奨)
- メールアドレス
- パスワード(強度要求あり)
- 利用規約への同意 -
メール認証の完了
- 登録メールアドレスに送信される認証リンクをクリック
実践のコツ: 企業プロジェクトでは、アカウント管理者を明確にしておくことが重要です。私は必ずプロジェクト開始時にアカウントの引き継ぎ方法も含めてドキュメント化しています。
ステップ 2:初回インスタンス作成
インスタンス作成の戦略的判断
実際のプロジェクトでは、以下の基準で判断しています:
プロジェクト初期段階(概念実証)
- 選択: AuraDB Free
- 理由: コストをかけずに技術検証が可能
- 期間: 1-3 ヶ月程度
本格開発段階
- 選択: AuraDB Professional
- 理由: スケーラビリティとバックアップが必要
- 移行時期: データ量が制限に近づいた時点
具体的な作成手順
- 「New Instance」ボタンをクリック
- 「Create Free instance」を選択
- 初回は必ず Free ティアから開始することを推奨
- インスタンス名の決定
- プロジェクト名を含める(例:
project-prototype-db
)
- プロジェクト名を含める(例:
- リージョン選択(Professional ティア以上)
- アプリケーションサーバーに最も近いリージョンを選択
ステップ 3:認証情報の安全な管理
自動生成パスワードの重要性
インスタンス作成時に表示される自動生成パスワードは二度と表示されません。これは私が実際に経験した最大の落とし穴でした。
実践的な管理方法
私の推奨手順:
-
パスワードマネージャーへの即座の保存
- 1Password、Bitwarden 等を使用
- プロジェクト専用フォルダを作成
-
バックアップファイルのダウンロード
- 画面の「Download」ボタンを必ずクリック
.txt
ファイルを安全な場所に保管
-
チーム共有方法の確立
- 企業用パスワードマネージャーでの共有
- セキュアな社内ストレージでの管理
失敗例とその対策: あるプロジェクトで、パスワードを保存し忘れてインスタンスにアクセスできなくなったことがありました。結果的にインスタンスを再作成する羽目になり、初期設定を最初からやり直すことになりました。
リージョン選択の実践的考慮事項
レイテンシ(通信遅延)の影響
実際のプロジェクトでリージョン選択を間違えた結果、クエリ応答が 2-3 倍遅くなった経験があります。
私の選択基準
国内プロジェクト(推奨順):
-
東京リージョン(AWS ap-northeast-1)
- レイテンシ:5-10ms
- 最も安定した接続
-
シンガポールリージョン(AWS ap-southeast-1)
- レイテンシ:30-50ms
- 東京が利用できない場合の代替
グローバルプロジェクト:
- ユーザー分布に応じて複数リージョンを検討
- コスト vs パフォーマンスのトレードオフを重視
Aura コンソールの初回ツアー
ダッシュボードの読み方
実際の運用では、ダッシュボードから多くの情報を素早く把握する必要があります。
重要な操作要素
-
インスタンスステータス
Running
: 稼働中(課金対象)Paused
: 一時停止(コスト削減状態)
-
主要アクションボタン
Open
: Workspace の起動Pause/Resume
: インスタンスの制御...
: その他のメニュー(削除、設定等)
-
接続情報の確認
- Connection URI: アプリケーション接続用
- Username: 通常は
neo4j
自動ライフサイクル管理の理解
Free ティアの重要な制約
これは実際のプロジェクトで何度も遭遇した課題です:
重要なルール:
- 3 日間書き込みがない → 自動 Pause
- 30 日間Pause 状態 → 完全削除(復旧不可)
私の対策:
// 定期的に実行する「生存確認」クエリ
CREATE (keepalive:Maintenance {timestamp: datetime()})
このクエリを週 1 回実行することで、意図しない削除を防いでいます。
次のステップ
アカウント作成とインスタンス起動が完了したら、次は日常的な運用管理について学びましょう。
第 2 回では以下を扱います:
- インスタンスの効果的な起動・停止管理
- コスト最適化のテクニック
- 接続情報の確認と管理方法
実践のまとめ:
- プロジェクトの段階に応じたティア選択
- 認証情報の確実な保存
- リージョン選択の戦略的判断
- 自動ライフサイクルの理解と対策
次回: 第 2 回:Aura の司令塔!インスタンス管理ダッシュボードを使いこなす
著者: hnish - walk-with-ai AI/DX コンサルタント
最終更新: 2025 年 7 月 1 日